前回はNDフィルターの魅力について語ってみました。
今回は実際にNDフィルターを使う上での注意点などをまとめてみます。
ところどころに作例も入れておきます。ご参考までにどーぞ。
NDフィルターを使う上で気をつける点
現場での撮影がスムーズになるポイントを、3点お伝えします。
事前に頭に入れておくと、バタバタしてベストショットを逃してしまったということが減らせるかもしれません。
以降ND16とかND32など、ND○○と数字が出てきます。
○○の数字が大きいほど暗く目隠しできる(シャッタースピードを遅くできる)と言う考えでいいと思います。
もっと詳しく知りたい方は、『NDフィルター 種類』で検索してみるといろいろ出てきます。
NDフィルターの効果について
私の場合は撮影の時間帯などで、使うフィルターを大まかに決めます。
- 夜・暗いところ ・・・ ND8, ND4
- 昼間・明るいところ ・・・ ND400
- 夕方や朝方・薄暗いところ ・・・ ND16
だいたいこれを基準に、フィルターの濃度を調整していきます。
同じタイミング(シチュエーション)でも、どのフィルター(濃度)を選ぶかによって描写が大きく変わってきます。
作例を一つ挙げます。最初の写真はND16を使用。
波の動きがまだ少し残っていますね。
そしてこちらがND400を使用。
ND16を使用した時より波がフラットになり、神秘的な描写となりました。
数字が大きい(濃度が濃い)フィルターを使えばいいということでは無く、イメージしている描写に近づけられるように、フィルターを選んでいきましょう。
NDフィルターを付けるタイミング
AF(オートフォーカス)でのピント合わせができるのが、だいたいND16までです。
ND32以降あたりからは、ピント・構図を合わせた後にNDフィルターをつけましょう。
AFが使える限界については、お使いのカメラボディのスペックに依存します。
ND32以降のフィルターを使う際には、セッティングに注意が必要です。
ピント・構図を合わせた後にNDフィルターを付ける時は、ピントを調整した後にレンズのフォーカスをM(マニュアル)に切り替えて下さい。
NDフィルターを取り付けた後、不意にピントがズレてしまうのを防ぐことができます。
NDフィルターを取り付けた後のシャッタースピードの決め方
先に申し上げておきますが、私はAFが使えるND16まではいちいち計算なんぞしません。
NDフィルター装着後にカメラで露出を図っています。(AF半押しとか)
シャッタースピードを計算式で求めるのは、ND32以降です。
以下、少し複雑な計算式が出てきます。計算しなくても、写真を確認しながらシャッタースピードを徐々に落としていけばいいことではあります。
眠たくなったらこの小見出しは飛ばしましょう。
NDフィルターを取り付けた後、シャッタースピードはどのように決めたらいいのでしょうか。
答えは簡単です。
NDフィルターについているND○○の番号をシャッタースピードに掛ければ(かけ算)いいのです。
例えば、適正露出時のシャッタースピードが『1/15』でND32のフィルターをつけた場合の式は、『(1/15) x 32』となります。計算の結果は『2.133…』。だいたい『2秒』あたりが適正な露出となります。
計算結果に『1』以下の数字が出てくるとちょっと戸惑うと思います。その時は以下のように考えるとわかりやすいです。
シャッタースピードを計算する時に『1以下の数値』が出てきたら、『1』で『その1以下のシャッタースピードの数値』を割りましょう。そしたら『1/○○』の○○部分が出てきます。
例えば適正露出時のシャッタースピードが『1/125』でND16の場合。
計算式は『(1/125) x 16 = 0.128』となり、わかりやすく小数点第2位を四捨五入して『0.13』。
『1』をその数字(0.13)で割ります。式は『1 ÷ 0.13 = 7.692…』。
この数字が『1/○○』の数字となります。
この例だと『1/7.692…』= 『1/8あたり』となりますね。
それでも迷ったそこのあなた、大丈夫です。こうしましょう。
『1以下の数字』が出るのなら、シャッタースピードをまずは『1秒』にします。そこから徐々にシャッタースピードを上げて(1/2,1/4,…)いけばいいのです。
数式を覚えておくと役に立つのは、30秒以上の露出ぐらいからです。
あらかじめ大まかな時間を算出できると、やり直しなどの時間ロスが軽減されます。
NDフィルターをうまく活かすポイント
このページであげている作例にも共通することですが、ポイントは『静』の中に『動』をうまく取り入れることです。
NDフィルターは『動』を強く表現することができます。『動』と『静』の対比が見る人を引きつけてくれるのです。
あと撮るものがなくて困ったら、『とりあえず水があるところへ行け!』です。
水があると取り敢えずどうにかなります。
撮るものに困った人にとって水辺は、砂漠の中のオアシスと同等の価値があります。
ちなみに私の風景写真はほとんどが海(水辺)です。・・・何か?
まとめ
たかがフィルターとあなどるなかれ。
NDフィルターはあなたの可能性を一気に広げてくれるアイテムなのです。
シャッタースピードを遅くできることによって、人間の目では見ることのできない世界が見えてきます。
もしかしたら今まで撮ってきたワンシーンの中にも、シャッタースピードを遅くすることによって見えていた世界があったのかもしれません。
スローシャッターでの描写を覚えると、写真の表現力が一気に広がります。
NDフィルターをうまく活用して、無意識に閉じ込められた表現の限界を超えちゃってください。ぴょーんとね。
そこにはあなたしか撮れない写真があるはずです。