写真を撮っているとちょくちょく遭遇するのが白トビ。
特にマニュアルモードや日中の明るい所などで撮る場合では、よく起こりがちですよね。
・・・あれ?私だけ?
一般的に、白トビは悪いと言うことで敬遠されがちです。
なぜ『白トビ=悪』と言う構図になるのでしょうか。
もちろん白トビが避けられがちな理由はあります。
まずは白トビが生み出す損失(デメリット)について考えてみましょう。
白トビはデータを失いやすい
白トビの度合いにもよりますが、白トビするとその部分のデータは失われやすい傾向にあります。
実際の写真で見てみましょう。
いやぁ白い!すでに失敗写真オーラ全開です。
白い砂浜ががっつり白トビしているのがご覧いただけますでしょうか。
赤い部分が白トビしている部分です。
補正後の仕上がりを見てみましょう。
適正な露出設定で撮った写真との比較です。
残念なことに、補正をしても砂浜の表情は取り戻せませんでした。
このように強く白トビしてしまうと、その部分のデータが白以外の表示ができなくなってしまうのです。
じゃあ黒ツブレはどうなの?
主題から少しそれますが、せっかくですので黒ツブレについても触れておきます。
黒ツブレは、ある程度元に戻せる傾向があります。
これもちょっとやり過ぎ感のある写真ですが、比較するにはもってこいです。いきますよー・・・
ねっ、暗いでしょ。もはや何の写真なのかすらわかりません。
黒ツブレしてる部分は、青色で表示されています。
補正後はこちら。岩場の部分について、かろうじてディティールが残っていますが、やはりちょっと残念ですね。
適正な露出設定で撮った写真との比較です。
わかる、わかるよ。でもみて欲しいのは黒ツブレの部分。レタッチが雑なのは知ってるから。
いかがでしょう。黒ツブレした部分はどうにか取り戻せる傾向にあります。
しかし白トビしてしまった部分については、データが失われやすいということが、なんとなくでも伝わったでしょうか。
なぜ白トビは目立ちやすいのか
ついでに白トビが目立ちやすい理由についてもお伝えしておきます。
それは、あなたが人間だからです!
よかったですね。
人間は、暗いところよりも明るいところに視線が誘導される性質があります。
人間にとって、白トビは目立ちやすい存在なのです。
もう一つの要因として、白トビは広い面積で起こりやすい傾向にあることが挙げられます。
逆に黒ツブレは、影の一番濃い部分などスポット的に起こりやすい為、目立ちにくいのです。
今回の『砂浜の白トビ』と『岩の黒ツブレ』も、同様のケースなのではないでしょうか。
意図的な白トビはアリ?白トビの効果とは
私はそんな白トビにも、効果的(メリット)な使い方があると思っています。
今まで「白トビは悪い!」みたいな流れできたのにアレですが、別に白トビしててもいいと思います。
あ、いや、やってしまった系の白トビはよくないんだけど、意図的な白トビについてはアリということです。
だって、太陽とか見てみてください。(目を痛めるからちらっと見てね。)
「うわっ!眩しい!」ってなりますよね。あれって人間の目が白トビしているイメージだと思うんですよね。
暗闇の中だってそう、目が慣れるまでは「真っ暗!!」ってなるじゃないですか。
あれが黒ツブレのイメージだと思います。
『自然界に完全な白や黒は存在しない。』と言われています。
いや、そうかもしれないけど。
太陽の眩しさとか暗闇の真っ暗さとかっていうイメージを表現する方法の一つとして、白トビや黒ツブレを取り入れてみる。
私はアリだと思います。
これが白トビの効果(メリット)だと思います。
この写真はどこが白トビしているか一目瞭然ですね。さすがにやりすぎですが。
白トビ・黒ツブレをコントロールする方法
白トビのメリット・デメリットはトレードオフの関係にあります。
家に帰って確認したときにがっかりしないよう、白トビ黒ツブレを予防(コントロール)するための方法を、3点お伝えします。
ヒストグラムを都度チェックする
撮影のつど、ヒストグラムをチェックしてください。
プレビュー画面の映像だけを見て、判断するのは危険です。
プレビュー画面の映像は周辺の明るさによって、明るく見えたり暗く見えたりするので当てになりません。
ヒストグラムは(ざっくり言うと)、明るさを数値化したグラフです。
プレビュー画面のように、勘違いさせるような態度をとりません。
ヒストグラムさんは真面目な奴なんですよ。
あ、ご紹介が遅くなりました。ヒストグラムさんです。
お手持ちのカメラのプレビュー設定画面から、ヒストグラムの表示設定ができると思います。
白トビ・黒ツブレのチェック方法は簡単です。
右側に山がくっついてしまうと白トビが起こっています。
例に挙げた、砂浜が白トビしている写真のヒストグラムです。
左端に山がくっついてしまうと、黒ツブレの部分あり。
例に挙げた、岩が黒ツブレしている写真のヒストグラムです。
ヒストグラムは他にも色々な情報が載っていて為になるデータなのですが、白トビ黒ツブレの確認についてはこれだけで十分です。
白トビ黒ツブレの度合いが大きくて気になるようでしたら、その場で露出を調整していきましょう。
あえて暗めに撮って後でレタッチ
黒ツブレより白トビをした部分の方が、データが失われやすいのは先述した通りです。
「明るい雰囲気に仕上げたいけど、どうしても白トビしてしまう」と言う場合は、とりあえず白トビしないギリギリの明るさで撮っておきます。
後日レタッチでイメージ通りに仕上げましょう。
私は明暗の激しいシチュエーション(サンセットとか逆光)などでは、ある程度の黒ツブレは覚悟して、白トビしない露出に合わせます。
パソコンで合成する
かっこいい言葉で『露出ブレンド』とかって言います。
撮影時に露出の違う写真を何枚か撮っておいて、明るい(黒ツブレしていない)写真と暗い(白トビしていない)写真をそれぞれいいとこ取りで合成する手法です。
Photoshopを利用して行うテクニックなのですが、私はあまり使いません。
気が向いたら記事にしてみたいと思います。
まとめ
写真に正解はありません。それが写真の面白いところだったり難しいところだったりします。
白トビ黒ツブレを気にしすぎて不自然な写真が出来上がってしまっては、元も子もありません。
自然界に完全な白と黒は存在しないとは言えども、私たちの持つイメージの中では完全な白と黒は”自然に”存在しています。
白トビや黒ツブレを抑えるのではなくうまくコントロールして、あなたのイメージする美しい世界を描いてみてください。