縦位置で写真を撮るときあると便利なLプレート(ブラケット)。
今回たまたまKIRK(KIRK Enterprise Solutions)社とRRS(Really Right Stuff)社のプレート(ブラケット)が手元にあり、いい機会なので両商品を比較してみたいと思います。
購入する際の検討材料となれば嬉しいです。
これらを念頭に置いた上でお読みください。
結論から
比較したのはこの2つ。
精度に関してはいうまでもありません。甲乙つけがたく、どちらも素晴らしい商品です。
選ぶ基準としては、『雲台の取り付け(アリミゾ)部分と同じメーカを選ぶと』が第一です。
プレート(アリガタ)部分に1mm以下の微細な差がある為、わずかなガタつきがでる可能性があります。各社もそれを推奨してます。
とは言っても実際に取り付けてみると、ガタつきはほぼ感じられません。
個体差もあるかと思いますが、個人的にはそこまで気にする必要はないかなと言うのが正直な気持ちです。
それ以上の精度を求めるなら、雲台にボディを直付する方法を選びましょう。
ただし注意していただきたいのが、クランプの固定方式についてです。
今回はスクリュー式のクランプで確認したのですが、レバー式のクランプでは固定が弱い組み合わせもあるそうです。
お持ちのクランプがスクリューノブ式で、ある程度の誤差は気にならないと言うのでしたら、デザインで選んでみてもいいのではないでしょうか。
細かい違いもあるので、こだわりたい部分があるのでしたら、そちらに重点を置いてもいいのかもしれません。
各部を比較してみる
それでは各部ごとに見ていきましょう。
底面について
どちらも固定ネジ頭部はM5の六角穴です。オフセットの取り付けも可能な仕様となっています。縦構図の撮影ではオフセット必須です。理由は後述します。
固定ネジは取り替え可能です。六角穴が気になる方は、替えてみてもいいのかもしれません。
底面には別途1/4インチネジ穴もあるので、プレートへ直接取り付けやアクセサリーをつけたりなどもできます。ストラップホール?もあります。
どちらもつけたままバッテリーの交換は可能です。
この辺りまでは両者に共通して言えることです。
底面の細かい違いについて
1/4インチネジ穴に関しては、KIRKは前後に重心がズレないように配置されているのに対し、RSSは左右に重心がズレないように配置されています。
こちらは用途によって一長一短です。
形状の違いで言えば、RRSは液晶側の底面はカバーしているのですが、レンズ側は半分までしかカバーしていません。
よってカメラを地面に置いた時、不安定になります。
対してKIRKは、底面がレンズ側へもせり出していて、ボディの底面を全体的にカバーしています。
地面に置いた時も安定感があります。
実はこれが私にはネックとなりました。
KIRKのこのせり出した部分が、カメラを構えた時に左手親指の付け根(母指球)にちょいちょい当たるのです。
これはちょっといただけないです。
慣れれば問題ないかもしれませんし、構え方の問題かもしれません。
でも私はちょいちょい気になります。気にちょいちょいなるんです。
まあ、外せばいいんですけどね。
プレート部分
プレート(アリガタ)部分の両社の違いは1mm以下です。互換性があると言っても差し支えありません。
強いて言えば、RRSはプレート(アリガタ)部分から底面に向かう部分が少し丸みを帯びています。
こちらに関しては、こちらをご参照ください。寸法の計測など細かくなされていてとても参考になります。
参照:アルカスイス互換メーカーのプレートの違い
底面の厚さ
KIRK社が少し厚いです。バッグなどへの収まりにちょっとした違いが出てくるかもしれません。
本モデルの比較とはそれますが、D1桁台のフラッグシップモデルやバッテリーグリップを装着したカメラでは、手持ち縦構図の際に握り込みに違いが出てきます。
人によってはこのわずかな厚みが、握りづらさを感じる要因となるでしょう。
まあ、外せばいいんですけどね。
側面について
側面は中抜きされていていて、Lプレート(ブラケット)をボディに密着した状態で、コネクタ部分へアクセスできます。
取り付け後にもコネクタ部分の蓋が開けられるようサイドにスペースがありますが、どちらのメーカーも私は素手で開けられませんでした。
そもそも指が入りません。開発者はきっと指が細い人だったに違いありません。
おとなしくピンセットやつまようじ的なものを使いましょう。
私は手が大きい方なので、もしかしたら手が小さい方や指が細い方,爪の長い方,この商品を開発した方でしたら、何も使わずに開けられるかもしれません。
どちらの商品に言えることですが、縦構図でケーブルを使って撮影する際には注意が必要です。
ケーブル類を逃すスペースを確保する必要があるため、オフセットでの取り付け作業が必要になってきます。
取り付け際にオフセットできるような仕様になっているのは、このためでもあります。
底面のサイドにある目盛を目安に調整しましょう。
側面がボディから離れるので強度が気になるという方は、両社スペーサーも用意されているので、検討してみてはいかがでしょうか。
KIRK : L-ブラケット専用スペーサーブロック LBA-1
RRS : ケーブルリリーフ用スペーサー CRS
側面の細かい違いについて
RRSは底面から側面にかけてラウンドしている部分が肉抜きされています。
おかげで縦構図でケーブルを使用する際には、左右どちらにでもケーブルを逃すことができます。
側面のプレートの長さについては、KIRKが約5mm長いので縦構図の微調整には有利です。
側面の厚さについてはRSSが若干厚いです。こちらも底面の厚さと同様、収納の面で少し気になるかもしれません。
まあ、外せばいいんですけどね。
重さ
- RRS 81g
- KIRK 110g
KIRKが若干重いです。とは言っても、数値を見たらわかる程度。
暗闇でどちらのプレートでしょうかと聞かれると、迷うと思います。
体感的にはわかりません。
外観
RSSは全体的にシンプルな印象です。良くも悪くも存在を感じさせないデザインといったところでしょうか。
反対にKIRKは無骨でどっしりとした印象です。こちらは存在感があります。
外観に関しては、好みによって分かれるところだと思います。
まとめ
最後に簡単に3点でまとめてみました。
- プレート部分の形状はほぼ同じ。よって互換性あり。でもできたらクランプと同じメーカーのプレートを使いましょう。
- 形状に細かい違いはあるものの、撮影に影響あるほどの違いはない。
- 迷ったら外観で選ぶのもアリ。
比較して感じたのは、やっぱりどちらもいい商品です。
Lプレート(ブラケット)を取り入れることによって、面倒な縦構図のセッテイング変更もほんの数秒で決まります。
面倒だからといって取りこぼしていた世界を切り取れるチャンスです!
ぜひあなたも手に入れて、素敵な写真をその手に収めてくださいね!
ちなみに私は、KIRKがちょいちょい当たるのでRRSを使うことにしました。